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イタリア、シチリア島のパレルモには、時が止まったかのような美しさを持つ少女のミイラ、ロザリア ミイラが存在します。
彼女はなぜ100年以上もの間、その美しさを保ち続けることができたのでしょうか。
この記事では、ロザリア ミイラの保存の秘密と、彼女の瞼が時折動くという不思議な現象の背後にある真実を探ります。
驚くべき保存技術とその背後に隠された謎、そしてロザリアの歴史を一緒に解き明かしていきましょう。
なぜ、ロザリア ミイラは100年きれいに保存できているのか?
ロザリア ミイラの保存の秘密は、特定の保存技術と環境条件にあります。
特に、乾燥した環境と一定の気温が維持されていることが、ミイラが100年以上きれいな状態で保存できている秘密です。
ロザリアミイラができた背景、保存技術、瞬きについてさらに詳しく解説していきます。
ロザリア・ロンバルドとは?
ロザリア ミイラ、正式にはロザリア・ロンバルドは、イタリアのシチリア島のパレルモに位置するカプチン修道院の地下納骨堂に安置されている、驚異的な保存状態を保った少女のミイラです。
彼女は1918年に生まれ、1920年に肺炎のため1歳11ヶ月で亡くなりました。
その後、彼女の遺体は遺体保存の専門家、アルフレッド・サラフィアによってミイラ化されました。
ロザリアがミイラ化された背景
ロザリアの両親(Padres de Rosalía, Maria di Cara y el oficial Mario Lombardo)
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ロザリアは、肺炎により早世しました。
彼女の死は家族にとって大きな悲しみとなりました。特に彼女の父親は、彼女の存在を永遠に記憶に留めたいと強く願っていました。
そのため、彼は時代の最先端とされる保存技術を駆使して、彼女の体をミイラ化することを選択しました。
この保存技術は、特定の化学物質と独自の方法を組み合わせることで、遺体の劣化を極限まで防ぐことが可能でした。
彼の決断は、彼女の美しさと記憶を後世に伝えるためのものであり、彼女の死後も彼女の存在を感じることができるようにとの願いからでした。
父親がロザリア ミイラの保存をアルフレッド・サラフィアに依頼
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アルフレッド・サラフィアは、20世紀初頭のエンバーミング技術の先駆者として知られています。
彼の高度な技術と知識は、国際的な舞台での講演を依頼されるほどの評価を受けていました。
彼の名前が広く知られるようになったのは、1歳11ヶ月の少女、ロザリアの遺体の防腐処理を父親から依頼され、手掛けたことからです。
彼の施術により、ロザリアは「世界一美しいミイラ」と称されるほどの保存状態を保っています。
この施術の背後には、アルフレッド・サラフィア独自の方法があったと言われています。
彼はその技術に関する詳細を公にすることはありませんでしたが、2009年に彼の遺族から資料が発見され、その中に彼の革新的なエンバーミング技術に関する情報が記されていました。
この資料によれば、彼は特定の化学物質を使用して、遺体の細胞を保護し、腐敗を防ぐ方法を開発していました。
この技術は、当時の他のエンバーミング方法とは一線を画しており、彼の名を不朽のものとしました。
では、彼はどういった保存方法で、ロザリアを100年間もきれいな状態で保存できるようにしたのでしょうか?
ロザリア ミイラを美しく保存した方法
アルフレッド・サラフィアは、20世紀初頭のエンバーミングの世界でその名を轟かせる存在でした。
彼の技術と知識は、古代エジプトのミイラ作成技術とは一線を画しており、特に内臓をそのまま残すという点で革命的でした。
内臓は、通常、腐敗の原因となるため、古代のミイラ作成では取り除かれることが一般的でした。しかし、サラフィアは異なるアプローチを採用しました。
彼の方法の核心は、遺体の血管を利用して防腐剤を体内に行き渡らせることにありました。
特に、大腿動脈という太ももの付け根に位置する大きな動脈を利用することで、薬剤を効率的に全身に送り込むことができました。
この技術は、当時のエンバーミング技術とは異なるものであり、サラフィア独自のものでした。
彼は、ロザリアの遺体をマッサージやストレッチで柔らかくし、死後硬直を解除することで、血管の流れを改善しました。
そして、頭部を下にして遺体を寝かせることで、血液の流れを促進し、薬剤の行き渡りを助けました。
このような緻密な手順を踏むことで、彼はロザリアの体内の血液を効果的に取り除き、防腐剤を全身に行き渡らせることができました。
また、サラフィアは、薬剤の行き渡りにくい部位には直接、ピンポイントで薬剤を注射することで、遺体の保存状態を最適化しました。
彼のこのような先進的な技術と緻密な手法は、ロザリア・ロンバルドの遺体が現在も驚くべき保存状態で存在している理由となっています。
サラフィアの技術は、彼の遺族から発見された資料によって明らかになりました。
この資料は、彼のエンバーミング技術の秘密を解き明かす鍵となり、彼の技術の高さと革新性を再認識させるものでした。
TV番組でMRI検査を実施。使用された薬品も判明
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しかし、あまりにロザリアのミイラの保存状態が完璧すぎることから蝋人形とのすり替えを疑われたため、ナショナル・ジオグラフィック・チャンネルが2009年にMRI検査を実施。
その結果、彼女が2歳の少女のミイラであることが確認されたのです。
さらに、この検査により、彼女の体の内部、特に内臓が驚くほどの状態で保存されていることも明らかになりました。
この結果は、ロザリアのミイラが単なる蝋人形ではなく、高度な保存技術によって維持されていることを示しています。
実際、彼女のミイラを保存するために使用した薬剤は防腐剤のほかに、ホルマリン、塩化亜鉛、アルコール、サリチル酸、グリセリンなどであることが判明しています。
- ホルマリン:これは高い防腐効果を持つ薬剤で、当時の使用は画期的でした。ホルマリンは組織を固定し、細菌の増殖を防ぐことで腐敗を防ぎます。
- 塩化亜鉛:これは腐敗の防止と体の硬質化に貢献しています。硬質化は、遺体の形を維持するために重要です。
- アルコール:これは乾燥とミイラ化を促進する役割を果たします。アルコールは水分を取り除くことで、細菌の増殖を防ぐ助けとなります。
- サリチル酸:これは強力な殺菌作用を持ち、菌の増殖を防ぐ役割があります。
- グリセリン:過度な乾燥から遺体を保護する役割があります。グリセリンは遺体の柔軟性を維持し、乾燥による収縮やひび割れを防ぐ助けとなります。
さらに、2007年には、アルフレード・サラフィアが残した処方が記された手稿が発見されました。
この手稿は、彼がどのような方法でロザリアの遺体を保存したのか、具体的な手順や使用した薬剤に関する詳細な情報を提供しています。
この発見により、ロザリアのミイラがどのようにしてその美しい状態を保っているのかの謎の一部が解明されました。
しかし、ロザリアのミイラにはまだ多くの謎が残っています。
例えば、彼女の遺体には脳が残っており、多少の萎縮はあるものの、ほぼ原形を保っています。
このような保存状態を維持するための技術や手法は、現代の科学でも容易ではありません。
また、彼女の遺体の中には、腸や子宮を含む多くの内臓が完全な形で残っていることも、科学者たちにとっての大きな謎となっています。
ロザリア・ロンバルドのミイラは、その美しい保存状態と、それを支える高度な技術によって、今も多くの人々の興味を引きつけています。
彼女のミイラが持つ謎を解明することは、遺体保存技術の進化や、歴史的背景を理解する上で非常に重要です。
そして、これからも多くの研究者や歴史家が、ロザリアのミイラの謎を解き明かすための調査や研究を続けることでしょう。
ロザリアミイラ瞬きの瞬間:画像
ロザリア・ロンバルドのミイラは、多くの人々を驚かせてきました。
特に彼女の瞼が時折動く様子は、多くの議論と興味を引きつけています。
この現象について、一般的には納骨堂の中の湿度や気温などの自然現象によって、眼球が膨らんだり縮んだりしていることが原因とされています。
このような自然現象による動きは、納骨堂の特定の環境条件下での物理的な変化として説明されています。
しかし、この説明だけでは満足できない人々も少なくありません。
実際に、一部の科学者や研究者は、この現象が単なる自然現象だけでなく、日の光がもたらす錯覚現象の可能性も考慮しています。
具体的には、日中に窓から差し込む日の光が、ロザリアの瞼の動きを引き起こす可能性があるという見解が示されています。
この錯覚現象の説は、光の角度や強度、そして納骨堂の内部の環境といった要因が組み合わさって、私たちの目には瞼が動いているように見えるというものです。
ロザリアミイラの動画
引用元 YouTube
ロザリアミイラの短いYouTube動画がありますので、リンクを貼っておきます。
動画で見る方がより、その美しさ、きれいさを感じることができると思います。
ロザリア・ロンバルド ミイラの現在
ロザリア・ロンバルドのミイラは、イタリアのパレルモにあるカプチンカタコンベにおいて、今もその美しさを保ったまま安置されています。
彼女のミイラは、その驚異的な保存状態から「眠る美女」とも称され、多くの人々の関心を引きつけています。
カプチンカタコンベは、ロザリアをはじめとする多くのミイラを展示しており、観光名所として多くの人々が訪れます。
しかし、ロザリアの遺体にも時間の経過とともに変化が見られるようになってきました。
エンバーミング技術は、遺体の崩壊を遅らせるものであり、永遠の保存を保証するものではありません。
実際、彼女の肌の色や質感には変化が見られるようになってきており、これを防ぐために殺菌用のガスがガラスの棺桶の内部に注入されています。
観光地としての利用により、カメラのフラッシュや多くの人々の訪問による温度・湿度の変動など、外部からのさまざまな要因が彼女の遺体に影響を与えている可能性が考えられます。
このような状況を鑑み、カタコンベの管理者は、ロザリアの遺体の保存状態を維持するための新しい方法を模索していると言われています。
現在、ロザリア・ロンバルドのミイラがまだ一般公開されているかどうかは定かではありませんが、彼女の存在は、死と生、そして人間の尊厳について私たちに多くのことを考えさせてくれます。
彼女のミイラがこれからも長く保存され、多くの人々にその美しさと歴史を伝え続けることを願っています。
ミイラの文化的・宗教的背景
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イタリアには、おおよそ3000体のミイラが存在するといわれています。
これらのミイラは、自然発生的にできたものと、遺体防腐処理などの人為的な介入をすることでできたものがありますが、イタリアのミイラは、ほとんどが自然にミイラ化したものです。
ミイラは、イタリア語ではムンミア(mummia)といいます。
語源は中世ラテン語の「mumia」から来ていて、これはアラビア語の「歴青 れきせい mumiyya」に由来していると考えられています。
古代のイタリアには、地下の埋葬施設であるカタコンベが各地に存在しました。
この地下墓地カタコンベは、柔らかい凝灰岩を掘ったトンネルのような構造になっていて、壁面に埋葬用の区画を設けてその穴の中に遺体を収容していました。
キリスト教では、死後の遺体の復活を信じるために、このような火葬ではない埋葬法を行っていました。
16世紀末に、シチリア島のパレルモのカプチン会の修道士が、埋葬していた兄弟の遺体のうち45体が完璧に保存されていることに気づき、遺体が腐敗せずに乾燥する環境により、自然にミイラ化しました。
この天然ミイラは、修道士達によって礼拝堂の中に直立するようにして展示されました。
イタリアのミイラは全国に点在していますが、特に南イタリアには数多くの“土着”のミイラがおり、11月2日の死者の日の祝日に行われる特定のカルトの中心的存在となっています。
イタリアでは、ミイラ化は故人をしのぶため、また遺体を永遠に保存する目的で行われていました。
ミイラは、古代エジプトをはじめとする多くの文化や宗教で重要な役割を果たしてきました。
死後の生を信じる文化や宗教において、死者の体を保存することは、次の世界への旅のための重要な儀式とされてきました。
イタリアにおいても、ミイラは特別な位置を占めています。
なぜ、ロザリア ミイラは100年保存できているのか:まとめ
- ロザリア・ロンバルドはシチリア島のパレルモのカプチン修道院に安置された少女のミイラである
- 1918年に生まれ、1920年に肺炎で1歳11ヶ月で亡くなった
- 遺体は遺体保存の専門家、アルフレッド・サラフィアによってミイラ化された
- サラフィアは20世紀初頭のエンバーミング技術の先駆者として知られる
- ロザリアの遺体は「世界一美しいミイラ」と称される保存状態を保っている
- サラフィアの技術は彼の遺族から発見された資料によって明らかになった
- ロザリアのミイラの保存のために使用された薬剤はホルマリン、塩化亜鉛、アルコール、サリチル酸、グリセリンなどである
- ロザリアの瞼が時折動く現象は湿度や気温の変化や日の光の錯覚現象として説明されている
- カプチンカタコンベはロザリアを含む多くのミイラを展示しており、観光名所として知られる
- ロザリアの遺体にも時間の経過とともに変化が見られるようになってきている