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私たちの日常会話において、「ルンペン」という言葉を耳にする機会は意外と多いかもしれません。
しかし、この言葉が関西弁や俗語の一種ではなく、実はドイツ語の「Lumpen」に由来し、その意味や背景には深い歴史と社会的な文脈があることを知る人は少ないのではないでしょうか。
この記事では、「ルンペン」の語源からその意味、放送禁止用語としての側面、さらにはホームレスや乞食との違いについて掘り下げていきます。
資本主義社会の最底辺を指すこの言葉がどのようにして日本に入ってきたのか、そして私たちの言葉の中でどのように使われているのかを解き明かしていきます。
読み進めるうちに、「ルンペン」という言葉の持つ重みとその多面性について、新たな理解を深めることができるでしょう。
ルンペンとは関西弁や方言ではない!ドイツ語だった
「ルンペン」という言葉について調べている方は、その用語の背景や意味について深く知りたいと思っているかもしれません。
ルンペンという言葉を大阪弁や関西弁、そしてどこかの方言だと勘違いされている方も多いようですが、日本語ではありません。
実は、「ルンペン」という単語はドイツ語の「Lumpen」に由来し、直訳すると「布切れやボロ服」を意味します。
この基本的な意味から、さまざまな文脈で用いられるようになりました。
ドイツ語では、この言葉は浮浪者を指すものではありません。
浮浪者を指す際には「Penner」や「Pennbruder」という単語が使用されることが一般的です。
これに対して、「ルンペン」はもともとは服飾に関する言葉であり、その社会的な意味合いは日本語での使用法とは異なります。
ルンペンの意味は?ある人たちのことを指す言葉だった
日本では、「ルンペン」という言葉は「浮浪者」を意味する言葉として用いられることが多く、特に「ルンペンプロレタリアート」という表現は、「最底辺の労働者」を指すマルクス経済学の用語として知られています。
「ルンペンプロレタリアート」
資本主義社会の最下層に位置する浮浪的な極貧層
(広辞苑)
これは、文字通り「ボロの服しか持っていない労働者」を意味します。
仕事もせず、家もなく、ふらふらしている、極めて貧しい人々のことをマルクスはこう呼んだのです。
そもそもあまりよい意味で使われていた言葉ではありませんでした。
日本でのルンペンという言葉は新聞小説で関西から広まった
「ルンペン」という言葉が日本で広く知られるようになったのは、意外にも新聞小説からでした。
昭和5年、大阪朝日新聞の夕刊で連載された下村千秋の「街のルンペン」という作品がそのきっかけとなります。
この小説が翌年、昭和6年に映画化されたことで、言葉はさらに日本全国に定着しました。
「街のルンペン」は、当時の社会背景、特に震災恐慌から世界大恐慌に至る大不況の中で苦闘する人々の生活を描いた作品です。
街には浮浪者が溢れ、多くの人々が貧困に苦しんでいました。
この小説は、そんな時代の中で一生懸命生きるルンペン(浮浪者)の女主人公のリアルな生活を描き出しています。
映画化に際しては、松竹による宣伝文句があり、
「池田義信監督の作品で、新派の古典やメロドラマの女主人公から少しでも脱皮して真実に近い人間を描こうと、栗島すみ子が月田一郎を相手に主演した」
と紹介されています。
この映画と小説は、当時の社会情勢を反映し、貧困層の人々の共感を得ることに成功しました。
しかし、残念ながら原作の「街のルンペン」は現在では絶版となっており、その内容を直接読むことは難しい状況です。
資料も乏しく、作品の詳細は推測に頼るしかないのが現状です。
それでも、この作品が「ルンペン」という言葉を日本に広め、その後の意味合いに影響を与えたことは確かです。
ルンペンは放送禁止用語のひとつ?
日本では「浮浪者=ルンペン」というイメージが根強く、その使用は慎重になされるべきです。
2018年10月に放送されたNHKの朝ドラ「まんぷく」では、この「ルンペン」という言葉が使われ、少なからず話題となりました。
「まんぷく」はインスタントラーメンを発明した安藤百福夫妻の物語を描いており、昭和時代前半の時代背景を反映しています。
その時代に一般的だった「ルンペン」という言葉が、放送禁止用語であるにもかかわらず、意図的に使われたのです。
日本における「放送禁止用語」とは、放送事業者の自主規制によるものであり、法律によって定められたものではありません。
これは視聴者からのクレームに基づいて決定されることが多く、放送事業者がその判断を下します。
過去には「足切り」「名門校」「後進国」「ブラインドタッチ」などがクレームによって放送禁止用語となった例があります。
「ルンペン」が裁判になるほどの差別用語ではないとされる一方で、基本的に人を差別する用語の使用は避けられるべきです。
放送局では、「クレームが10件くれば即座に放送禁止用語になる」という基準があると言われていますが、これも一概には言えない状況です。
結論として、「ルンペン」は一部で放送禁止用語として扱われている可能性がありますが、その指定は放送事業者による自主規制に依存します。
したがって、「ルンペン」を使用する際には、言葉の持つ力と影響を理解し、良識を持って使用することが、私たち一人ひとりに求められています。
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「浮浪者(ルンペン)」、「ホームレス」、「乞食」の違い
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社会にはさまざまな事情で困難な生活を送る人々がいます。
しばしば「浮浪者(ルンペン)」、「ホームレス」、「乞食」という言葉が使われますが、これらの言葉はそれぞれ異なる意味を持っています。
ここでは、それぞれの言葉がどのような人々を指しているのか、その違いについて解説します。
「浮浪者(ルンペン)」の意味
「浮浪者」とは、特定の居住地を持たず、あちこちさ迷い歩く人々を指します。
この用語は「ルンペン」とも関連付けられ、時には「乞食」と同一視されることもあります。
浮浪者の特徴は、居住地を持たないことですが、これは必ずしも職を持たないという意味ではありません。
日雇い労働をしながら、夜はネットカフェや24時間営業のファストフード店で過ごす人も、居住地を持たないという意味で「浮浪者」と見なされることがあります。
「ホームレス」の意味
「ホームレス」とは、特定の居住地を持たず、公園や路上などを生活の場とする人々を指します。
ホームレスの人々は、特定の場所に簡易的な生活場所を設け、そこで日々を送っています。
多くの場合、空き缶集めなどを通じて収入を得ており、一般の家庭と変わらない生活を送っていることもあります。
ただし、公園や路上での生活は多くの自治体で禁止されており、ホームレスの人々は時に立ち退きの対象となることもあります。
「乞食」の意味
「乞食」とは、生活のために他人に食べ物や金銭などを無心する人々を指します。
乞食は、古くはインドのバラモン階級の修行の一環として行われていた行為であり、日本でも職業として乞食を行う人々がいました。
現代では、生活に困窮し他人に援助を求める行為を指すことが多く、中には実際には居住地を持つ人もいます。
乞食行為は、日本の法律で基本的に禁止されていますが、社会の変化と共にその捉え方も変わりつつあります。
これらの言葉は、一見似ているように感じられるかもしれませんが、指し示す対象や背景には大きな違いがあります。
社会的な課題としての「浮浪者」、「ホームレス」、「乞食」に対する理解を深め、適切な支援や対応が求められています。
カール・マルクスとルンペンプロレタリアートの定義について
引用元 アマゾン
カール・マルクス、19世紀の哲学者・思想家・経済学者として知られ、社会主義・共産主義革命に大きな影響を与えた人物です。
彼の理論は、階級間の社会格差を克服するための闘争、特にブルジョアジー(資本家階級)とプロレタリアート(労働者階級)の対立に焦点を当てました。
しかし、マルクスはプロレタリアートの中にも革命の役に立たず、むしろ障害になると見なされる層が存在すると認識していました。
それが「ルンペンプロレタリアート」です。
「ルンペンプロレタリアート」という用語は、マルクスが1848年の「共産党宣言」や1852年の「ルイ・ボナパルトのブリュメール18日」などの著作で使用しました。
彼はこの層を「無産階級や労働者階級の中でも革命意欲を失った極貧層」と定義し、当初は「最下層の腐敗物」という非常に厳しい言葉で位置づけました。
ジプシーなどの差別や取り締まりの対象となっていた移動民族が、この層のイメージとして挙げられました。
しかし、マルクスの考え方は後年になると変化します。
彼は金融ブルジョアジー、つまり生産せずに他人の富を操って金持ちになる層を「ブルジョワジーの上層に再生したルンペンプロレタリアート」と定義しました。
この変化は、マルクスがルンペンプロレタリアートを単に経済的に最底辺にいる人々だけでなく、「政治的に変節しやすい」や「犯罪に走りやすい」といった社会的・行動的特性を持つ人々と見なすようになったことを示しています。
山下清はルンペンだった?
引用元 アマゾン
山下清は「日本のゴッホ」とも称され、その生涯は放浪の旅と深く結びついています。
山下清の人生と作品は、ルンペンという言葉の意味を考える上で、非常に興味深い事例を提供してくれます。
彼は、社会的な枠組みや名誉にとらわれることなく、自由な精神で日本中を旅しました。
この放浪の旅は、彼のアートに大きな影響を与え、独特の世界観を生み出したのです。
山下清は18歳で八幡学園を脱走し、その後昭和30年6月まで断続的に放浪を続けました。
彼のこの期間の経験は「放浪日記」としてまとめられ、後にテレビドラマ「裸の大将放浪記」の原案となりました。
ドラマの中で主人公「清」はルンペンという設定であり、山下清自身の放浪者としての生活が、ルンペンという言葉と結びつけられていることが分かります。
山下清が放浪生活を送る中で、おにぎりの施しを受けるなど、乞食扱いされることもあったとされています。
しかし、彼にとってはそれが都合が良かったようで、社会的な名誉や地位よりも、自分のアートと自由を追求する生き方を選んだのです。
このような生き方は、一般的な意味でのルンペンとは異なり、むしろ彼のアートにおける独自性と自由への強い意志を象徴しています。
ルンペンがつく言葉
「ルンペン」という言葉は、放送禁止用語としての使用が避けられる一方で、ファッションや日常生活の中で使われるさまざまなアイテムに名前として残っています。
ここでは、「ルンペン帽」「ルンペンストーブ」「ルンペン釣り」という三つの「ルンペン」がつく言葉について紹介します。
ルンペン帽
ルンペン帽は、ハットのつばの部分が広く波打っているデザインの帽子を指します。
このスタイルの帽子は、かつて浮浪者や乞食が着用していたことからこの名前がつきました。文学作品や映画などで、探偵や冒険家がかぶっているイメージがあるかもしれません。
例えば、名探偵・金田一耕助が着用していることで知られています。
ルンペン帽はその特徴的な形状から、現在でもヴィンテージやレトロファッションのアクセサリーとして愛用されています。
ルンペンストーブ
ルンペンストーブは、石炭や薪を燃料とする二筒式のストーブのことです。
この名称がついた理由は、筒が二つあることから、一方が働いている間、もう一方は休んでいるという様子を「ルンペン」と見立てたからです。
一般的にはひとつの筒しか使わないため、この比喩が生まれました。
ルンペンストーブは、寒冷地での生活やアウトドアでの使用に適しており、その実用性から多くの人に親しまれています。
ルンペン釣り
ルンペン釣りは、直接的に釣りを行う技法を指すわけではなく、釣りをしている人の隣で、おこぼれに預かろうとする行動を意味します。
何もせずに魚を得ようとする様子が、ルンペンに例えられてこの名前がつきました。
また、ルンペンが橋の下で生活することが多かったことから、橋の下で行われる釣りも「ルンペン釣り」と呼ばれることがあります。
この言葉は、釣り文化の中でユーモラスに使われることがあります。
これら「ルンペン」がつく言葉は、それぞれが持つ歴史や文化的背景を反映しています。
放送禁止用語としての「ルンペン」とは異なり、日常生活の中で使われるこれらの言葉は、時に温かみや親しみを感じさせることもあります。
ルンペンとは関西弁ではなくドイツ語:意味、語源まとめ
- ドイツ語「Lumpen」から来ており、「布切れやボロ服」を意味する
- 日本では「浮浪者」や「最底辺の労働者」を指す言葉として用いられる
- マルクス経済学では「資本主義社会の最下層に位置する浮浪的な極貧層」と定義
- 「ルンペンプロレタリアート」は「革命の役に立たない」とマルクスにより見なされた
- 昭和初期、新聞小説「街のルンペン」の連載と映画化により日本で広まった
- 放送禁止用語としての側面も持つが、ファッションや日常生活で使われることもある
- 「ルンペン帽」「ルンペンストーブ」「ルンペン釣り」など、日常用語に名を残す
- 放送禁止用語としての扱いは放送事業者の自主規制に依る
- 「浮浪者」「ホームレス」「乞食」といった言葉と比較されるが、それぞれ異なる意味を持つ