仮想通貨におけるインパーマネントロス(変動損失)とは?仕組みを具体例で分かりやすく解説!

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仮想通貨の流動性プールで資産を運用しているとき、「インパーマネントロス」という言葉を耳にすることがあります。

しかし、この言葉を聞いても、具体的にどのような影響があるのか、またどのように対処すればよいのかを理解している方は少ないかもしれません。

インパーマネントロスは、資産価格の変動によって引き起こされる損失であり、流動性プールに資産を提供する際に重要なポイントとなります。

この記事では、インパーマネントロスの基本的な定義から具体的な事例、さらにその影響を最小限に抑えるための戦略までを分かりやすく解説します。

これから流動性プールに参加しようと考えている方や、既に参加している方がそのリスクをしっかり理解し、賢く対策を講じるための情報を提供します。

特に、資産の価格変動による損失がどのように計算され、どのように管理できるのかを知ることができれば、より効果的な投資判断ができるようになるでしょう。

目次

インパーマネントロスとは?

  • インパーマネントロスの仕組み
  • インパーマネントロスの具体例を紹介
  • インパーマネントロスの早見表、計算サイト
  • AMM(自動マーケットメイカー)を特性を生かしたドルコスト戦略
  • 3つのリスクヘッジ方法

インパーマネントロスの基本的な定義

インパーマネントロス(Impermanent Loss)とは、主に流動性プール(LP)での資産価格の変動によって生じる損失のことを指します。

流動性プールは、分散型取引所(DEX)などで取引のスムーズな実行を支えるために設けられたもので、ユーザーが資産をプールに提供することで、取引のための流動性を供給します。

しかし、この流動性プールに資産を提供することで発生するインパーマネントロスは、流動性提供者(LP)が提供した資産の価格が変動することで引き起こされる損失です。

具体的には、流動性提供者がLPに複数の資産を一定の割合で提供すると、プール内での資産の比率が自動的に調整されます。

この調整は、AMM(自動マーケットメイカー)が行い、資産価格の変動に応じてプール内の資産の比率を変えます。

例えば、ETHとUSDTを50:50の割合で提供していた場合、ETHの価格が変動すると、プール内のETHとUSDTの量が変わり、それに伴い提供者の資産の総価値も変化します。

この変化が損失として現れるのがインパーマネントロスです。

インパーマネントロスは一時的なものであり、資産価格が元の状態に戻ると損失も解消される可能性がありますが、プールから資産を引き出すと、その時点での損失が確定します。

インパーマネントロスを理解するには、流動性プールとAMM(自動マーケットメーカー)の知識が必要となるので、簡単に解説していきます。

LP(流動性プール)の仕組みとその役割

流動性プール(LP)は、分散型取引所(DEX)やその他のブロックチェーンベースの取引プラットフォームで取引をスムーズに行うための重要な仕組みです。

流動性プールの基本的な役割は、ユーザーが取引をする際に十分な流動性を提供することです。

これにより、取引が円滑に行われ、価格の急激な変動を防ぐことができます。

流動性プールは、ユーザーが複数の資産を一定の割合で提供することで形成されます。

例えば、ETHとUSDTを50:50の割合で提供する場合、プールにはETHとUSDTの両方が含まれます。

このプール内の資産は、AMM(自動マーケットメイカー)によって管理され、取引が行われるたびに資産の比率が調整されます。

重要なのは、流動性プールでは常に1対1という同じ比率の暗号資産を保つような仕組みになっているということです。

その1:1の比率を保つために利用されているのがAMM(自動マーケットメーカー)になりますの資産リバランスになります。

AMMの資産リバランスとは?

AMM(自動マーケットメイカー)の資産リバランスとは、流動性プール内の資産の比率を自動的に調整するプロセスです。

AMMは、流動性プールに提供された複数の資産の比率を一定のルールに基づいて管理しています。

たとえば、UniswapなどのAMMは、資産の価格が変動するたびにプール内の資産を自動的に売買し、指定された比率(例えば50:50)を維持しようとします。

このリバランスのプロセスは、資産の価格が上昇または下降する際に、プール内の資産の比率を調整するために行われます。

たとえば、BNBとBUSDのペアの流動性プールでBNBの価格が上昇した場合、AMMはBUSDをBNBに交換し、プール内のBNBとBUSDの比率を元の状態に戻そうとします。

このような調整によって、流動性プールは取引の際に常に一定の比率を保ち、取引の公平性を維持します。

しかし、このリバランスの過程でインパーマネントロスが発生する可能性があります。

価格変動に応じて資産が調整されるため、流動性提供者がプールから資産を引き出した時に、当初の資産の価値に比べて損失が生じることがあります。

次の項目でインパーマネントロスの発生の仕組みと具体例を解説していきます。

インパーマネントロス発生の仕組み

インパーマネントロスは、流動性プール内の資産の価格が変動することによって発生します。

例えば、ある資産の価格が上昇すると、その資産がプール内で占める割合が減少し、逆に価格が下落すると占める割合が増加します。

AMM(自動マーケットメイカー)が価格を調整し、資産をリバランスする過程で、LPの保有資産の価値が減少し、結果的にインパーマネントロスが発生します。

インパーマネントロスの具体例を紹介:Uniswap

例えば、AさんがUniswapのLP(流動性プール)にETHとUSDTをそれぞれ1,000ドルずつ提供したと仮定します。

ここではわかりやすく、ETHの価格が1,000ドル、USDTの価格が1ドルと仮定します。

そうすると、現在プール内には1ETHと1,000USDTががあることになりますので、Aさんの資産は

Aさんの資産=1ETH+1,000USDT=2,000USDT

次の日、ETHの価格が上がり、1ETH=1,200USDTとなりました。

この価格変動の間、AさんのLP(流動性プール)にある資産は、ETH:USDTの比率が50:50になるようにリバランスされ、Aさんの資産は、次のように変化しました。

AさんのLP(流動性プール)にある資産=(0.91ETH(1,095.4USDT)+1,095.4USDT)=2,190.8USDT

では、LP(流動性プール)に資産を預けずに、そのまま暗号資産を保有していた場合はどうだったのでしょうか?

比較してみましょう。

Aさんの手元にある資産=(1ETH(1,200USDT)+1,000USDT)=2,200USDT

暗号資産をそのまま保有していた場合と比較して、LP(流動性プール)に資産を預けていた場合は、9.2ドル(0.4%)利益が少なくなっています。

この9.2ドルのマイナスがインパーマネントロスになります。

実際にどのくらいの価格変動でどのくらいのインパーマネントロスが発生するのか、早見表があるので紹介しておきます。

インパーマネントロスの早見表

価格変動損失 (%)
1.25倍0.6%
1.50倍2.0%
1.75倍3.8%
2倍5.7%
3倍13.4%
4倍20.0%
5倍25.5%

引用元:Bincance Academy

インパーマネントロス(IL)の画像と早見表は、流動性プールにおける価格変動による損失の程度を視覚的に把握するためのものです。

例えば、流動性提供者がエントリー時の価格比が±50%以内の範囲であれば、インパーマネントロスはおおよそ2%以下に収まります。

この範囲内の価格変動であれば、損失が比較的小さいため、大きなリスクとはなりません。

つまり、価格がある程度の範囲内で安定している仮想通貨であれば、インパーマネントロスの影響は限定的です。

一方で取引量の少ない一部のアルトコインでは、価格が3倍~5倍程度変動することも珍しくありません。

こうした価格変動が大きい銘柄では、インパーマネントロスが大きくなるリスクがあります。

そのため、流動性プールに資産を提供する際には、価格変動の大きい草コイン(低取引量のアルトコイン)を選ぶことは慎重に行う必要があります。

価格変動が大きい銘柄を扱うと、大きなインパーマネントロスを被る可能性が高くなります。

したがって、比較的安定しているメジャーな仮想通貨(例えば、BNBやBTCなど)での流動性提供の方が、リスクを抑えた運用が可能です。

メジャーなコインは価格変動が比較的小さく、インパーマネントロスを抑えた安定した投資が期待できるからです。

投資したい暗号資産に合わせて、細かくインパーマネントロスを計算することができるサイトもあるので、1つ紹介しておきます。

インパーマネントロスの計算サイト

dailydefi.orgというサイトで仮想通貨AとBの現在・将来価格を入力するとインパーマネントロスの計算ができます。

インパーマネントロスをシミュレーションしたいときに便利です。

インパーマネントロスを応用:ドルコスト平均法による積み立て戦略

ドルコスト平均法とは、一定の金額を定期的に投資し続けることで、価格の変動によるリスクを分散し、平均的な購入コストを下げる手法です。

ドルコスト平均法による積み立て戦略は、価格変動のリスクを分散しながら安定的に資産を増やすための投資手法です。

この戦略を利用すると、インパーマネントロス(資産価格の変動によって流動性プールで発生する一時的な損失)をうまく活用し、長期的に安定した利益を追求することができます。

例えば、毎月一定額を使ってBTC(ビットコイン)を購入する場合、価格が高いときには少量、価格が低いときには多くのBTCを購入することになります。

この方法によって、価格が一時的に高騰したり暴落したりしても、全体として安定した投資が可能です。

ドルコスト平均法はミームコインよりもメジャーなビットコインやイーサリアムの長期運用におすすめな方法となります。

ドルコスト平均法による積み立て戦略の具体例

Dさんは手元に1BTCと40,000 USDTを保有しており、これをBTC-USDTの流動性プールに提供することに決めました。

ここでは便宜上、BTCの価格が1BTC=40,000 USDTであると仮定し、資産の比率を50:50に設定します。

Dさんの資産=1BTC+40,000 USDT=80,000 USDT

しばらくするとBTCの価格が30,000 USDTまで下落しました。

この価格変動により、Dさんの流動性プール内の資産も変化します。

※手数料収入は考慮していません。

Dさんの資産=1.15 BTC+34,641 USDT=69,282 USDT

Dさんは、30,000 USDTがBTCの強力なサポートラインであり、底値であると判断したので、LP(流動性プール)から69,282 USDTをすべて引き出しました。

その後Dさんの予測が当たって、BTCの価格が元の40,000 USDTに回復したと仮定します。

Dさんの資産は、いくらになったのでしょうか?

Dさんの資産=1.15 BTC+34,641 USDT=80,641 USDT

Dさんの資産は、開始時に比べて+641USDTの利益を得ることができました。

※(手数料収入は考慮していません)

仮に、LP(流動性プール)に預けたままだった場合は、80,000 USDT+手数料収入となってましたので、大きく利益を伸ばすことに成功しています。

この方法の利点は、価格の底を正確に見極める必要がない点です。

ドルコスト平均法をLPに適用することで、価格変動のリスクを自動的に管理しながら、長期的な利回りを得ることが可能です。

さらに、流動性プールでは取引手数料や報酬も得られるため、積み立ての過程で得られる収益も加算されます。

記事参考元 Alpaca Finance

インパーマネントロスに対するその他対策、ヘッジ方法

  • 変動損失が解消されるまで保有しておく
  • 一番取引手数料の高い流動性プールを選ぶ
  • 変動損失が発生しにくい通貨ペアを選ぶ

変動損失が解消されるまで保有しておく

インパーマネントロスが発生した場合、元の価格に戻るまで待つことで損失を解消する方法があります。

このアプローチは、価格の変動が一時的なものであり、長期的に見れば価格が元に戻ると予測できる場合に有効です。

具体的には、流動性提供者がプールに資産を提供している間に、資産の価格が下落または上昇し、その結果としてインパーマネントロスが発生することがあります。

しかし、時間が経つことで市場が安定し、価格が元の水準に戻る可能性があります。この場合、損失も解消されることが期待されます。

ただし、この方法にはいくつかの注意点があります。

まず、市場の動向を見極める必要があります。

価格がいつ元に戻るかを正確に予測するのは困難であり、長期間にわたって資産を保有することになるため、資産の流動性や市場の変動に注意を払う必要があります。

また、市場が長期間にわたって不安定な場合や、価格が元に戻らない場合には、損失が長引く可能性もあります。

したがって、この対策方法は長期的な視点と市場の動向に基づく判断が求められます。

一番取引手数料の高い流動性プールを選ぶ

インパーマネントロスを補うために、流動性提供によって得られる利回りを損失以上にする方法もあります。

この戦略では、流動性提供によって獲得できる取引手数料や報酬が、インパーマネントロスを上回るようにすることが目標です。

例えば、高い取引手数料や報酬を提供する流動性プールを選択することで、損失を補うことができます。

具体的には、高い利回りが期待できるプールを選ぶことが重要です。

これには、取引手数料の率が高いプールや、追加の報酬を提供するプールが含まれます。

流動性プールによっては、特定のプロジェクトのトークンを保有することで追加の報酬を得ることができる場合があります。

これにより、インパーマネントロスによって発生した損失を、得られる利回りで上回ることが可能です。

ただし、この方法を選択する際には、リスクとリターンのバランスを慎重に計算する必要があります。

高い利回りを提供するプールは、一般的に高いリスクも伴うため、リスク管理が重要です。

また、流動性提供の際には、長期的な収益性や市場の変動に対する感度も考慮する必要があります。

したがって、この対策方法を採用する際には、利回りだけでなく、リスク要因にも注意を払うことが求められます。

変動損失が発生しにくい通貨ペアを選ぶ

変動損失が発生しにくい流動性プールを選ぶことは、リスクを最小限に抑えるための効果的な方法です。

この戦略では、価格の安定性が高い資産や、価格変動が比較的小さいプールを選ぶことが重要です。

価格が安定している資産や、価格変動が少ないプールは、インパーマネントロスのリスクが低くなる傾向があります。

たとえば、ステーブルコイン同士のペアや、価格が比較的安定している資産同士のペアを選ぶことで、価格変動の影響を抑えることができます。

ステーブルコイン(例:USDT、USDCなど)は、価格が1ドル前後で安定しているため、インパーマネントロスのリスクが低いです。

また、資産価格が急激に変動しにくいプールを選ぶことで、損失のリスクをさらに減らすことができます。

この戦略を採用することで、流動性提供者はより安定した収益を得ることが可能です。

ただし、安定したプールほど利回りが低い場合が多いため、安定性と収益性のバランスを考慮する必要があります。

また、プールの選定には、流動性の深さや取引手数料など、さまざまな要素を評価することも重要です。

インパーマネントロスとは?仕組みを具体例で分かりやすく解説!まとめ

インパーマネントロスとは、流動性プール(LP)で資産を提供する際に、価格変動によって生じる損失のことを指します。

この損失は、資産価格が変動することで、プール内の資産の比率が変わり、その結果、提供者の資産価値が減少することによって発生します。

流動性プールは、取引所でのスムーズな取引を支えるために、ユーザーが資産を一定の割合で提供することで成り立っています。

AMM(自動マーケットメイカー)が資産の比率を調整するため、価格の変動によりインパーマネントロスが発生するのです。

インパーマネントロスは一時的なもので、価格が元に戻ると損失も解消される可能性がありますが、プールから資産を引き出すと、その時点での損失が確定します。

特に、価格変動が大きい場合や流動性の少ない暗号資産では、インパーマネントロスが大きくなることがあります。

したがって、流動性提供者はリスクを理解し、適切な銘柄選びやリスクヘッジを行うことが重要です。

インパーマネントロスを効果的に管理するためには、流動性プールの仕組みやAMMの特性をよく理解し、リスクを評価することが必要です。

特に、長期的な投資を考える際には、インパーマネントロスを念頭に置きつつ、ドルコスト平均法などの戦略を活用することが有効です。

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