仮想通貨のイーサリアム(Ethereum/ETH)とは?特徴や歴史をわかりやすく解説!

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ブロックチェーン技術がもたらした革新の中でも、イーサリアム(Ethereum/ETH)は特に注目される存在です。

ビットコインがデジタル通貨の代表格として知られる一方で、イーサリアムはそのプラットフォーム上で自動契約を可能にするスマートコントラクトを提供し、仮想通貨の用途を大きく広げました。

2013年にヴィタリック・ブテリンによって考案され、2014年に発行が開始されたこのデジタル資産は、単なる通貨に留まらず、分散型アプリケーション(DApps)の基盤としても機能しています。

この記事では、イーサリアムの基本的な概要から、その特徴やメリット、そしてビットコインやイーサリアムクラシックとの違いに至るまで、イーサリアムの全貌をわかりやすく解説します。

イーサリアムがどのようにブロックチェーンの世界に革新をもたらしたのか、その魅力を深掘りしてみましょう。

  • イーサリアム(Ethereum/ETH)とは?
  • イーサリアムの特徴・メリット
  • イーサリアム(ETH)の課題
  • アップデート「マージ」とは?
  • 考案者:ヴィタリック・ブテリンについて
  • イーサリアムの歴史
  • ビットコイン(BTC)の違い
  • イーサリアムクラシック(ETC)との違い
  • イーサリアムの将来性は?
目次

イーサリアム(Ethereum/ETH)とは?

通貨記号ETH
提唱者Vitalik Buterin
発行上限上限なし
承認方式PoS
ハッシュアルゴリズムKeccak-256
発行日2014年
公式サイトhttps://www.ethereum.org
ホワイトペーパーhttps://github.com/ethereum/wiki/wiki/White-Paper
ソースコードhttps://github.com/ethereum

※2023年8月時点

イーサリアム(Ethereum)は、ビットコインに次ぐ人気の暗号資産であり、ブロックチェーン技術を利用したプラットフォームです。

2013年にロシア系カナダ人のプログラマー、ヴィタリック・ブテリンによって考案されました。

イーサリアムの特徴は、そのプラットフォーム上でスマートコントラクトと呼ばれる自動契約機能が利用できることです。

この機能により、ブロックチェーン上で様々なアプリケーションや取引を安全かつ透明に管理することが可能です。

イーサリアム(Ethereum/ETH)の特徴・メリット

  • スマートコントラクトを使用している
  • 独自のトークン規格「ERC」が採用されている
  • 様々なプラットフォームとして機能する

スマートコントラクトを使用している

イーサリアムの1つ目の特徴は、「スマートコントラクト」の機能を備えている点です。

スマートコントラクトとは、特定の条件が満たされた場合に自動的に契約が履行されるプログラムです。

これにより、従来の契約における人為的なミスや不正のリスクを大幅に低減することができます。

具体的には、スマートコントラクトはあらかじめプログラムされた条件に従って、ブロックチェーン上での取引や、外部から取り込まれたデータをトリガーとして自動的に実行されます。

例えば、売買契約が成立すると、自動的に支払いが処理されるといった具合です。

この仕組みにより、契約の実行が迅速かつ正確に行われるため、取引の透明性と信頼性が向上します。

イーサリアムのスマートコントラクトは、ブロックチェーン上で実行されるため、契約内容の改ざんが非常に困難です。

ブロックチェーンの分散型台帳によって、複数のコンピュータが契約内容を共有し、検証するため、一度記録されたデータは変更できません。

この特性により、契約不履行のリスクを大幅に削減することができます。

さらに、スマートコントラクトは手動の介入を必要としないため、契約プロセスの自動化が可能です。

これにより、取引の迅速化や人件費の削減が実現できます。

例えば、保険金の支払いが自動で行われるシステムや、不動産の売買契約が自動的に成立する仕組みなど、幅広い応用が考えられます。

イーサリアムのスマートコントラクト機能は、多くの企業や開発者から高く評価されており、さまざまな分野での実用化が進んでいます。

特に金融業界や不動産業界では、その利便性が注目されており、イーサリアムを基盤とする分散型アプリケーション(dApps)が数多く開発されています。

また、2017年には「Enterprise Ethereum Alliance(EEA)」が設立され、サンタンデールやJPモルガンなどの著名な企業が参画しています。

独自のトークン規格「ERC」が採用されている

イーサリアムの2つ目の特徴は、その独自のトークン規格「ERC」が採用されている点です。

トークン規格とは、特定のブロックチェーン環境内でデジタルトークンの機能や取引方法を標準化するためのルールです。

イーサリアムでは、この規格によって異なるトークンが共通の基準に基づいて作成され、異なるシステムやプラットフォームでの互換性が保たれています。

「ERC」は「Ethereum Request for Comments」の略で、イーサリアムのブロックチェーン上でトークンの仕様や機能を標準化するために提案され、採用されています。

これにより、トークンの開発者は一貫したルールに従うことで、トークンの互換性を確保し、広範なエコシステムで利用できるようになります。

代表的なERC規格には「ERC-20」と「ERC-721」があります。

ERC-20は、一般的な暗号資産のトークン規格として広く使用されています。

この規格は、トークンの発行や取引に関する基本的な機能を提供し、多くのICO(Initial Coin Offering)やDeFi(分散型金融)プロジェクトで採用されています。

ERC-20規格に従うことで、異なるプラットフォーム間でもトークンの取引がスムーズに行われます。

一方、ERC-721はNFT(非代替性トークン)用の規格です。

NFTはユニークなデジタルアイテムや資産を表現するためのトークンで、ERC-721はその個別性と不可替性を保証する仕様を定義しています。

これにより、デジタルアートやコレクションアイテムなど、唯一無二の価値を持つトークンの発行と取引が可能になります。

また、ERC規格には「ERC-20」や「ERC-721」以外にも、「ERC-721A」や「ERC-3525」「ERC-6551」など、多くのバリエーションがあります。

これらの規格は、それぞれ異なる目的や機能を持ち、イーサリアム上でのトークンの柔軟な利用を可能にしています。

例えば、ERC-721AはNFTの発行コストを削減するための改良版であり、ERC-6551はトークンに関連する特定のメタデータの管理を強化するための仕様です。

このように、ERC規格の導入により、イーサリアムはデジタル資産の標準化と相互運用性の確保を実現し、多様なトークンがエコシステム内で効果的に利用されています。

プラットフォームとして機能する

  • NFT(非代替性トークン)発行
  • DApps(分散型アプリケーション)構築
  • DeFi(分散型金融)構築
NFT(非代替性トークン)発行

イーサリアム(Ethereum)はNFT(非代替性トークン)発行のプラットフォームとして機能します。

NFT(Non-Fungible Token)とは、簡単に言えば「唯一無二の価値を持つデジタル証明書」であり、デジタルデータに唯一性と所有権を付与するものです。

これは、従来のデジタルデータが複製や偽造が容易であったのに対し、NFTはその価値を確固たるものにします。

具体的には、NFTはスマートコントラクト技術を利用して、その唯一性を証明します。

スマートコントラクトは、あらかじめ設定された条件に従って自動的に実行されるプログラムであり、これによりNFTの所有権や取引履歴が透明に記録されます。

この仕組みによって、デジタルデータが一意であることが証明され、コピーや偽造が不可能になります。

例えば、デジタルアートや音楽、ゲーム内アイテムなどがNFTとして発行されることで、その作品が唯一無二であることが保証されるのです。

従来のデジタルデータでは、同じ画像や音声を何度でも複製できるため、オリジナルの価値を証明するのが難しかったのですが、NFTはこの課題を解決しました。

例えば、著名なデジタルアーティストBeepleが2021年に発表したNFTアート「EVERYDAYS: THE FIRST 5000 DAYS」は、約6,900万ドル(約75億円)で落札され、NFTの市場価値と可能性を大いに示しました。

これは、NFTがデジタルアートの所有権を証明し、実際の取引においても高額で取引されることを意味しています。

さらに、NFTの利用はアートや音楽だけにとどまらず、不動産やチケット、ゲームアイテムなど、さまざまな分野に広がっています。

NFTによって、デジタルデータが価値を持つ新しい形態として認識されるようになり、ブロックチェーン技術の利用シーンを広げることが期待されています。

今後もNFTの普及は進み、より多くの分野でデジタル所有権の証明や取引の簡略化が進むと考えられています。

DApps(分散型アプリケーション)構築

イーサリアム(Ethereum)はDApps(分散型アプリケーション)構築のプラットフォームとして機能します。

DAppsとは、Decentralized Applicationの略で、「分散型アプリケーション」を意味します。

DAppsは、ブロックチェーンとスマートコントラクトを基盤に構築される、革新的なアプリケーションの形態です。

DAppsの最大の特徴は、中央の管理者なしで機能することです。

従来のアプリケーションはサーバーやデータベースが中央に存在し、その運営が一元化されていましたが、DAppsはブロックチェーンを利用することで、データや機能がネットワーク全体に分散されます。

これにより、アプリケーションの運営やデータ管理が透明で信頼性の高いものとなります。

また、スマートコントラクトにより、特定の条件が満たされると自動的に処理が行われるため、プロセスの効率化が図られます。

現状、DAppsの多くはイーサリアムのプラットフォーム上で開発されています。

これは、イーサリアムが提供するスマートコントラクト機能が、DAppsの構築に必要な柔軟性とセキュリティを提供するためです。

イーサリアムのブロックチェーン技術を利用することで、開発者は高度な分散型アプリケーションを容易に構築できるのです。

また、DAppsはゲーム開発にも利用されています。

DAppsを活用したゲームの代表的なものとしては、

  • Axie Infinity(アクシー インフィニティ)
  • Worldwide Webb
  • CryptoKitties(クリプトキティーズ)
  • Titan Hunters

などがあります。

これらのゲームは、DAppsの可能性を広げる例であり、ブロックチェーン技術が提供する分散型のメリットを活かしたエンターテインメントの新しい形を示しています。

DAppsによって、従来のゲームやアプリケーションとは異なる、透明性と公平性のあるプラットフォームが提供されています。

DeFi(分散型金融)構築

イーサリアム(Ethereum)は、DeFi(分散型金融)構築のプラットフォームとして機能します。

DeFi(Decentralized Finance)は、ブロックチェーン技術を活用して金融サービスを提供する新しい形態のエコシステムで、中央集権的な金融機関を介さずに、誰でも利用できる金融サービスを実現します。

日本語では「分散型金融」と呼ばれています。

DeFiの基本的な理念は、伝統的な金融システムのように中央集権的な機関が存在せず、スマートコントラクトとブロックチェーン技術によって金融サービスが自動的に提供される点にあります。

これにより、金融取引の透明性が高まり、コストが削減され、金融サービスへのアクセスが向上します。

具体的には、借り入れ、貸し出し、取引、保険など、様々な金融サービスがDeFiプラットフォーム上で提供されています。

イーサリアムのブロックチェーンは、これらのDeFiサービスの多くに利用されています。

これは、イーサリアムがスマートコントラクトを活用することで、複雑な金融取引を自動化し、透明かつ信頼性の高い金融サービスを構築できるからです。

また、イーサリアムはオープンソースのプロジェクトであるため、開発者たちは自由に新しいサービスやアプリケーションを構築することができます。

このオープン性と柔軟性が、イーサリアムをDeFiの主要プラットフォームにしている要因の一つです。

現実世界の金融機関が提供するサービスと異なり、DeFiは通常、規制や中介者なしで直接的な取引を可能にします。

これにより、取引のスピードが向上し、低コストで利用できるといったメリットがあります。

さらに、DeFiの利用者は、通常の金融機関では得られない利率の高い利子やリターンを享受できることが多いです。

具体的なDeFiプロジェクトの例としては、以下のようなものがあります:

  • Uniswap(ユニスワップ)
    Uniswapは、分散型の取引所であり、ユーザーが直接暗号資産を交換できるプラットフォームです。中央管理者が存在せず、全ての取引はスマートコントラクトによって自動的に処理されます。
  • Aave(アーヴェ)
    Aaveは、分散型の貸し出しプラットフォームで、ユーザーは仮想通貨を預け入れて利息を得たり、必要な資金を借りたりすることができます。借り入れや貸し出しのプロセスが完全に分散化されています。
  • Compound(コンパウンド)
    Compoundは、分散型の金融プロトコルで、ユーザーが暗号資産を預けて利子を得たり、資金を借りたりできるプラットフォームです。利率は市場の需要と供給に基づいて自動的に調整されます。

これらのDeFiサービスは、イーサリアムのスマートコントラクトを基盤にしており、分散型金融のエコシステムを支える重要な役割を果たしています。

イーサリアム(ETH)の課題

イーサリアムは、多くの利点がある一方で、いくつかの課題も抱えています。

これらの課題は、ネットワークのスケーラビリティやコスト、セキュリティに関わる問題です。

  • スケーラビリティの問題
  • スマートコントラクトのバグなど
  • 高騰するGas代

スケーラビリティの問題

「スケーラビリティの問題」とは、ブロックチェーンネットワークが取引量の増加に応じて処理能力を維持できなくなる現象を指します。

具体的には、ネットワークが混雑すると、取引の承認時間が長引き、手数料(ガス代)が高騰することが一般的です。

この問題は、イーサリアム(Ethereum)などのブロックチェーンプラットフォームにとって、非常に重要な課題です。

イーサリアムは、スマートコントラクトを利用して多様なアプリケーションを実行するため、取引情報だけでなく、プログラムコードもブロックに含まれます。

これにより、各ブロックが処理するデータ量が増え、結果としてネットワーク全体の処理速度が低下するのです。

たとえば、イーサリアムのブロックは約15秒ごとに生成されますが、その処理能力には限界があります。

取引が急増すると、この限界に達しやすく、取引の承認に時間がかかり、手数料が上昇することになります。

また、スケーラビリティの問題は、ネットワークの利用者が増え続けるにつれて顕著になります。

特に、NFTやDeFi(分散型金融)などの人気のあるアプリケーションが普及する中で、取引量の急増がネットワークにさらなる負担をかけています。

これにより、ユーザーの体験が悪化し、イーサリアムの利用が制約される可能性があります。

解決策としては、ブロック生成速度を上げるための技術的な改善が必要です。

たとえば、より効率的なコンセンサスアルゴリズムの導入や、サイドチェーン、レイヤー2ソリューション(例:プラズマやロールアップ)の活用が検討されています。

これらの対策により、ネットワークの処理能力を向上させ、スケーラビリティ問題を緩和することが期待されています。

スマートコントラクトのバグなど

スマートコントラクトは、ブロックチェーン上で自動的に契約内容を実行するプログラムであり、その設計において多くのセキュリティ上の利点を提供します。

特に、イーサリアム(Ethereum)ではスマートコントラクトが中心的な役割を果たしており、これにより取引の自動化や透明性が実現されています。

しかし、スマートコントラクトが完璧でない限り、そのコードにバグや脆弱性が存在する可能性があります。

スマートコントラクトのバグや脆弱性は、意図しない動作やセキュリティの脆弱性を引き起こすことがあります。

例えば、スマートコントラクトが適切に設計されていない場合、悪意のある攻撃者がその脆弱性を悪用して、資産を盗んだり、システムを操作したりする可能性があります。

実際、過去には以下のような具体的な事件が発生しています。

例えば、2016年には「The DAO(Decentralized Autonomous Organization)」というプロジェクトのスマートコントラクトにおいて、コードの脆弱性が悪用され、約360万ETH(当時の価値で約5000万ドル)が盗まれる事件が発生しました。

この事件では、イーサリアムの開発チームが緊急対応として、ブロックチェーンの状態を「巻き戻す」形で不正取引を無効化するという決定を下しました。

この「ハードフォーク」と呼ばれる措置により、盗まれたETHの返還が試みられましたが、これにはイーサリアムコミュニティ内で賛否が分かれました。

このような対応は、ブロックチェーンが「改ざんに強い」という特性を持っているために、逆に柔軟な修正が難しいという現実を反映しています。

ブロックチェーン上のデータは変更が困難であり、そのため問題が発生した場合の対処が非常に難しくなります。

スマートコントラクトのコードにバグや脆弱性がある場合、その影響を取り除くためには、根本的な修正や場合によってはネットワーク全体の調整が必要となることが多いのです。

Gas代の高騰

Gas(ガス)とは、イーサリアム(Ethereum)ネットワーク上で取引やスマートコントラクトを実行する際に必要な手数料を指します。

これは、ビットコインなど他の暗号資産と同様に、取引の承認やブロックチェーンの運営にかかるコストをカバーするためのものであり、イーサリアムのネットワークを維持するための重要な要素です。

イーサリアムでは、単にETH(イーサ)を送金する際だけでなく、スマートコントラクトの実行にもGasが必要です。

スマートコントラクトとは、自動的に条件に応じた処理を行うプログラムであり、その運用にはネットワークリソースが消費されます。

これにより、より複雑な取引やアプリケーションの運用が可能になりますが、それと引き換えに手数料も発生します。

Gas代の設定は利用者によって調整可能ですが、基本的にマイナー(取引の承認者)は高い手数料を設定した取引を優先して処理します。

このため、ネットワークの利用者が増加すると、取引の処理速度が遅くなることがあります。

特に、取引が集中する時間帯や、スマートコントラクトの実行が多い場合には、Gas代が急激に高騰することがあります。

例えば、イーサリアムのネットワークが混雑する期間には、Gas代が数十倍に跳ね上がることが珍しくありません。

これにより、少額の取引でも高額な手数料が必要となり、取引コストが大幅に増加することがあります。

これらの状況は、特にDeFi(分散型金融)サービスやNFT(非代替性トークン)の人気が高まると顕著です。

こうしたGas代の高騰は、利用者にとってはコストの増加を意味し、イーサリアムの利用可能性に影響を与える可能性があります。

そのため、イーサリアムコミュニティや開発者たちは、スケーラビリティの向上や手数料の削減を目的としたさまざまな技術的改善やアップグレードを検討・実施しています。

例えば、Ethereum 2.0の導入やLayer 2ソリューション(スケーリング技術)などが、その対策として挙げられます。

イーサリアムのアップデート「マージ(The Merge)」とは?

イーサリアム(Ethereum)は、ブロックチェーンネットワークの運用に膨大な電力を消費することで、環境への負荷が懸念されてきました。

特に、イーサリアムのネットワークは「Proof of Work(PoW)」というアルゴリズムを採用しており、これに伴うマイニング作業が大量の電力を必要としていました。

この問題に対処するために、イーサリアム財団は「The Merge」(マージ)と呼ばれる大規模なアップデートを2022年9月15日に実施しました。

「The Merge」は、イーサリアムのブロックチェーンが「Proof of Work(PoW)」から「Proof of Stake(PoS)」へと移行する重要なアップデートのことです。

PoWは、ビットコインなどの多くの暗号資産で採用されているアルゴリズムであり、マイニングという計算作業を通じて新しいブロックを生成し、取引を記録します。

この方法では、膨大な計算力を持つマイナーたちがネットワークを維持しており、その結果として非常に多くの電力が消費されます。

このため、環境保護の観点からPoWには批判が集まっていました。

一方、PoSは異なるアプローチを取ります。

PoSでは、ブロックの生成と取引の承認をマイニングではなく、コインを保有することで選ばれる「バリデーター」に任せます。

具体的には、バリデーターは自身が保有するETHをネットワークに「ステーキング」することで、ブロックの生成に参加します。

このシステムでは、計算量に依存せず、電力消費が大幅に削減されるのが特徴です。

「The Merge」による移行により、イーサリアムはこれまでのPoWからPoSへとシステムを変更しました。

この変更により、マイニングによる電力消費が不要となり、エネルギー消費量は最大で99.95%削減できると予測されています。

これは、環境負荷を大幅に軽減するための大きなステップであり、イーサリアムネットワークの持続可能性を大きく向上させるものです。

また、PoSへの移行は、イーサリアムのネットワークのセキュリティとスケーラビリティにも影響を与えると期待されています。

PoSのシステムでは、ネットワークの安全性が保たれつつも、より効率的な取引処理が可能となるため、ユーザー体験が向上することが見込まれています。

このように「The Merge」は、イーサリアムの運用効率を改善し、よりエコフレンドリーなブロックチェーンを実現するための重要なアップデートと位置付けられています。

参考文献:ethereum.org

イーサリアム(ETH)とビットコイン(BTC)の違い

イーサリアム(Ethereum)とビットコイン(Bitcoin)は、共にブロックチェーン技術を基盤にした暗号資産であるものの、目的や機能には大きな違いがあります。

ビットコインは、主にデジタル通貨として設計されており、価値の保存や取引の手段として広く利用されています。

対照的に、イーサリアムは単なる通貨を超えて、スマートコントラクトと呼ばれるプログラムをブロックチェーン上で実行できるプラットフォームとして設計されています。

これにより、イーサリアムは単なる送金手段にとどまらず、複雑な契約やアプリケーションの開発を可能にしています。

ビットコインは、通貨の取引を行うためのシステムとして発展してきました。

主な機能は、P2P(ピアツーピア)のネットワークを介して、中央の管理者なしで価値の移転を行うことです。

ビットコインのブロックチェーンは、主に取引の記録を保持することに特化しており、そのための「Proof of Work(PoW)」アルゴリズムを使用しています。

このアルゴリズムは、取引の承認と新しいブロックの生成を行うために膨大な計算リソースを必要とします。

一方、イーサリアムは、ビットコインの機能に加えて、スマートコントラクトという機能を提供しています。

スマートコントラクトとは、自動で実行されるプログラムで、特定の条件が満たされると自動的に契約や取引が行われる仕組みです。

イーサリアムのネットワークでは、このスマートコントラクトがブロックチェーン上で動作するため、単なる通貨の送金だけでなく、複雑なビジネスロジックを実現することが可能です。

例えば、スマートコントラクトを使用して、自動的に保険金を支払う契約や、デジタルアートの所有権の管理などが行われています。

また、イーサリアムは「ガス」と呼ばれる手数料の概念を導入しています。

ガスは、スマートコントラクトの実行やトランザクションに必要な計算リソースを消費するための費用を管理する役割を果たします。

利用者は、トランザクションやスマートコントラクトの実行に対してガス代を支払う必要があります。

この仕組みにより、ネットワーク内のリソースの使用が効率的に管理され、過剰な利用が抑制されます。

総じて、ビットコインとイーサリアムはそれぞれ異なる目的に特化して設計されており、ビットコインがデジタル通貨としての機能に集中しているのに対し、イーサリアムはスマートコントラクトを通じて、より広範な用途の実現を目指しています。

イーサリアムクラシック(ETC)との違い

イーサリアム(Ethereum, ETH)とイーサリアムクラシック(Ethereum Classic, ETC)は、同じ起源を持つものの、その後の歴史や方向性には顕著な違いがあります。

もともと、イーサリアムは一つのブロックチェーンで運用されていましたが、2016年に発生した「DAOハック事件」を契機に、イーサリアムとイーサリアムクラシックという二つの異なるプロジェクトに分岐しました。

DAOハック事件は、イーサリアム上で動作する「DAO(Decentralized Autonomous Organization)」という分散型組織のスマートコントラクトに脆弱性が発見され、約360万ETHが不正に引き出されるという重大なセキュリティインシデントでした。

この事件は、イーサリアムコミュニティに深刻な議論を引き起こしました。

問題への対応として、イーサリアムはブロックチェーンの履歴を巻き戻し、ハッキングの前の状態に戻すことを決定しました。

この手法を「ハードフォーク」と呼びます。

このハードフォークにより、イーサリアム(ETH)は新しいブロックチェーンとして再スタートしました。

ハードフォークによって、DAOハックで失われた資産を補填し、ハッカーの影響を排除することができました。

これにより、イーサリアムはセキュリティの強化と共に、分散型アプリケーション(DApps)やスマートコントラクトのプラットフォームとしての機能を進化させ続けています。

一方で、ハードフォークに反対したコミュニティの一部は、元のブロックチェーンをそのまま運用することを選びました。

これが「イーサリアムクラシック(ETC)」です。

イーサリアムクラシックは、DAOハック事件後もブロックチェーンの履歴をそのまま維持し続けたため、ハッキングによって不正に取得されたETCはそのまま残っています。

イーサリアムクラシックは、ブロックチェーンの不可逆性と分散型の哲学を重視し、不測の事態に対しても極力ハードフォークを行わない方針を貫いています。

このように、イーサリアム(ETH)とイーサリアムクラシック(ETC)は、DAOハック事件を契機に分かれた二つの異なるブロックチェーンであり、ETHはセキュリティと機能の向上を追求し続ける一方で、ETCはより純粋なブロックチェーンの原則を守り続けています。

考案者は当時19歳のヴィタリック・ブテリン

イーサリアムは、ヴィタリック・ブテリンという若き才能によって考案されました。

ブテリン氏は、わずか17歳のときにビットコインと出会います。

初めはその技術に対して特に興味を持たなかったものの、周囲の人々からビットコインについての話を聞くうちに、徐々にその可能性に気づき始めました。

大学進学後、彼はブロックチェーン技術に対する関心を深め、ビットコインのさらなる理解を得るために大学を中退しました。

ブテリン氏は、その後5カ月間の旅に出て、ブロックチェーンが物の売買、個人認証、クラウドファンディングなどさまざまな用途で使用されていることを確認しました。

しかし、この旅の中で、ブロックチェーン技術が特定の用途に限定されている現状にも気づきます。

この気づきが、彼のイーサリアムに対するビジョンを形作ることになりました。

2013年、19歳の若さで、彼は汎用的なブロックチェーンプラットフォームであるイーサリアムを考案しました。

イーサリアムは、単なる仮想通貨の枠を超えて、さまざまなアプリケーションやサービスを構築できるプラットフォームを目指しています。

翌2014年7月には、イーサリアムの資金調達を目的としたクラウドセールが行われました。

この資金調達はビットコインを通じて行われ、約15億円という大きな額を集めることに成功しました。

この成功により、2015年7月にはイーサリアムプロジェクトが本格的にスタートし、以後、ブロックチェーン技術の革新を促進するプラットフォームとしての地位を確立しました。

イーサリアムの歴史

イーサリアムは、2013年にヴィタリック・ブテリン氏が公開したホワイトペーパーに始まります。

このホワイトペーパーは、ビットコインのブロックチェーン技術にインスパイアされながらも、単なる通貨としての役割を超えた、新しいプラットフォームのビジョンを提示しました。

ブテリン氏は、スマートコントラクトや分散型アプリケーション(dApps)の構築が可能なブロックチェーンを構想していたのです。

2014年、イーサリアム財団が設立され、ブテリン氏を中心に開発が本格的に進みます。

7月には、開発資金を調達するためのプレセールが実施され、わずか42日間で約6,000万ETHが販売されました。

これにより、約32,000 BTCを集めることに成功し、イーサリアムのプロジェクトはさらに加速します。

2015年7月30日、イーサリアムの最初の公開版「フロンティア」がリリースされました。

これは、開発者向けに仕様が公開された段階であり、最初のブロックが生成され、マイニングが開始されました。

イーサリアムのプラットフォーム上では、この頃からすでにいくつかのプロジェクトが立ち上がりを見せていました。

しかし、イーサリアムの成長は順風満帆ではありませんでした。

2016年3月14日、イーサリアムは「ホームステッド」へのアップグレードを迎え、ネットワークの安定性とセキュリティが強化されましたが、その直後に「The DAO事件」が発生します。

自律分散型投資ファンド「The DAO」がハッキングされ、約360万ETHが盗まれるという衝撃的な出来事でした。この事件により、イーサリアムはコミュニティを二分するハードフォークを余儀なくされました。

結果として、イーサリアム(ETH)とイーサリアムクラシック(ETC)という2つのブロックチェーンが誕生します。

2017年には、イーサリアムの第3の開発段階「メトロポリス」が始動し、ビザンティウムアップグレードが実施されました。

このアップグレードでは、匿名性の向上とセキュリティの強化が図られ、スマートコントラクトの機能がさらに拡充されました。

この頃から、イーサリアムのプラットフォームとしての競争力は一層高まっていきます。

その後、2018年から2019年にかけては、暗号資産市場全体が低迷し、「暗号資産冬の時代」と呼ばれる厳しい時期を迎えました。

しかし、イーサリアムはこの冬を乗り越え、2020年に「分散型金融(DeFi)」のブームによって大きな復活を遂げます。

この「DeFiサマー」と呼ばれる時期には、レンディングサービスやステーブルコインなど、次々と新しいプロジェクトが立ち上がり、ETHの価格も急上昇しました。

2021年には、イーサリアムのトークン規格「ERC-721」を基にしたNFT(非代替性トークン)が注目を集めました。

特に、アメリカのアーティスト「Beeple」によるNFTアートがクリスティーズで約75億円で落札されたことは、大きな話題となりました。

NFT市場の急成長は、イーサリアムのエコシステムに新たな活力をもたらし、さらなる発展の基盤を築きました。

そして、2022年9月、イーサリアムはついにコンセンサスアルゴリズムをプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へと移行する「マージ」を実施しました。

この移行により、イーサリアムはエネルギー効率が大幅に向上し、環境負荷の軽減とネットワークのセキュリティ強化を実現しました。

しかし、すべてが順調に進んだわけではありませんでした。

2023年には、一部のマイナーや開発者がPoSへの移行に反発し、イーサリアムPoW(ETHW)やイーサリアムフェア(ETF)というフォークを試みましたが、賛同者が少なく、イーサリアムPoWの開発チームは解散しました。

この出来事は、イーサリアムの進化の過程における試練の一つとして記憶されるでしょう。

現在進行形で、イーサリアムはスケーラビリティ問題の解決に向けて、シャーディングやロールアップといった技術を用い、さらなる発展を目指しています。

2024年5月23日には、米証券取引委員会(SEC)がイーサリアムの現物で運用する上場投資信託(ETF)を承認し、イーサリアム(ETH)の価格は再び高騰しました。

イーサリアムの歴史は、挑戦と革新の連続であり、未来に向けた大きな可能性を秘めています。

これからもイーサリアムは、ブロックチェーン技術の先駆者として、さらなる進化を遂げていくことでしょう。

イーサリアムとは?まとめと将来性

イーサリアムの将来性については、非常に前向きな見通しが広まっています。

イーサリアムは「分散型アプリケーションのためのプラットフォーム」として設計されており、その核心にあるのが「スマートコントラクト」です。

スマートコントラクトは、プログラムによって契約や取引を自動化する機能を提供し、ユーザーはこの技術を使って様々なアプリケーションを構築することができます。

イーサリアムの強みの一つは、このプラットフォーム上で誰でもアプリケーションを設計・開発できる点にあります。

これにより、イーサリアムは多様なプロジェクトやイノベーションの発祥地となり、ブロックチェーン技術の普及を加速させています。

特に、最近のトレンドとして注目されている「DeFi(分散型金融)」や「NFT(非代替性トークン)」、さらには「IEO(Initial Exchange Offering)」といった新しいテクノロジーの多くが、イーサリアムのエコシステム内で発展しているのです。

また、イーサリアムは現在も進化を続けています。

2022年には「マージ(The Merge)」という大規模なアップデートを実施し、環境負荷を大幅に削減する「Proof of Stake(PoS)」への移行を完了しました。

この変更により、イーサリアムのネットワークはより効率的で持続可能な運営が可能になり、今後のスケーラビリティ問題やエネルギー消費問題の解決に向けた重要な一歩となりました。

「Web3.0」の進展に伴い、分散型アプリケーションの需要はますます高まっています。

Web3.0とは、中央集権的なウェブから分散型のウェブへと移行する新たなインターネットの形態を指します。

このトレンドは、イーサリアムのプラットフォームにとって追い風となり、より多くの開発者やユーザーがイーサリアムを利用することが予想されます。

さらに、イーサリアムは他のブロックチェーンとの互換性を持ち、イーサリアムの機能を他のプラットフォームにも活用する動きが進んでいます。

このため、イーサリアムのエコシステムは拡大し、より多くのアプリケーションやサービスがこのプラットフォーム上で提供されるでしょう。

このように、多くの革新と技術的進歩が期待されるイーサリアムは、将来的にも非常に有望なプラットフォームであり続けると考えられています。

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